言葉の魔法
大学で問題解決学というのをやっていた時に効果的な話法というのを習ったのだが、それは相手の言っていることを鏡のようにそのまま返すというもの。これを実は先日日本のニュースで「子供とのコミュニケーション法」としてやっているのを見た。大体こんな感じだったと思う。
その1
子供「ボク、やっぱりなんだか合宿行きたくないな…」
母親「え〜っ!何言ってんのよ、今頃〜。もうお金払っちゃったじゃない?」
子供「…」
その2
子供「ボク、やっぱりなんだか合宿行きたくないな…」
母親「そう…合宿行きたくないんだ?」
子供「うん…」
ニュースで紹介されたのは大人同士がロールプレイをして練習している場面だったが、後で子供の役をした男性に感想を聞くと、「最初の会話ではなんかもうそれ以上何も言えない感じ。でも二番目の会話では、ちょっと話してもいいかな、って思えました。」
これを見ていて大学で習ったことを思い出し、なんだか習っただけであまり実践に至っていないことを反省した。先日の苦情事件からも、やはりもっと生徒の感情を正確に把握しなくてはいけないと思っていたところだった。
その後もう一つ興味深いドキュメンタリー番組があった。イギリスに住んでいるインド人のティーンエイジャー(16歳)。この男の子がまあ、タバコを吸ったり夜中まで帰って来なかったりしてグレかけていて、母親の手におえなくなってきている。お父さんはいないようで、母親の再婚(?)相手がいるが、彼は見て見ぬ振り。お兄さんは医学部に合格したくらい優秀でそのコンプレックスもあるらしい。そこで登場するのが男女各一名のカウンセラー。この手の問題の専門家らしい。彼らの家を訪問し、あの手この手をつくし、家族関係向上の手助けをする。ティーンエイジャーは勿論態度が悪いが、お母さんもかなり口うるさく、彼が話そうとしていてもそれを遮ってしまうタイプ。カウンセラーはこんな時「どうやったらカッカしないで落ち着いて聞くことが出来るか」ティーンエイジャーにリラックスする為の呼吸法を教えたり、またはハイテクにイヤホンマイクを使って(親との)会話中に「イライラするよな。わかる、わかる。でもちょっと我慢しろ。」と囁いたりする。
そんな努力も空しく、状況はなかなか好転しない。そこでカウンセラーは「今日は問題解決は忘れて、お母さんと一緒に何か楽しめることをしてみよう」と誘い出す。行き先はなんと、(豪州でもショッピングセンターなどでたまに見かけるが)真っ白の人形(動物などの形をしている)に色を塗る、子供の遊び場所。が、ティーンエイジャーに恥をかかせぬためか、他の客は入れないようにしたようだ。ここで母子は並んで好きな人形に筆で色を塗っていく。しばらくそれをしていると驚いたことに息子は母に好きな女の子のことを話し出す。母はそれを聞き嬉しそうな顔。今日は母親の耳にカウンセラーと通じるマイクがついている。二人の会話が親密になってきた頃女のカウンセラーが囁く。"Tell him you love him!!" (息子さんに愛しているって言って下さい!)これを聞き、母親がなにげなく言う。"You know I love you?" 息子は恥ずかしそうに頷く。
この後親子の仲はずっとよくなる。それはあの"I love you"がもたらした結果のように思える。ティーンエイジャーは自分が愛されているということを確認したかったのだ。そこでちょっと考えてしまうのは、日本の親子ならこんな時どうするのだろう。子供に「あなたのこと、愛してるわよ」なんて言えないではないか。せいぜい「〜ちゃんのこと大好きよ」くらいだろうか? 日本人はもともと感情を言葉にしない人種…どうやったらもっと愛を伝えられるのだろう。
著書日本語教師の卵に贈る 海外での日本語の教え方 裏ワザ集 オーストラリア発信!でじたる書房にて発売中!

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その1
子供「ボク、やっぱりなんだか合宿行きたくないな…」
母親「え〜っ!何言ってんのよ、今頃〜。もうお金払っちゃったじゃない?」
子供「…」
その2
子供「ボク、やっぱりなんだか合宿行きたくないな…」
母親「そう…合宿行きたくないんだ?」
子供「うん…」
ニュースで紹介されたのは大人同士がロールプレイをして練習している場面だったが、後で子供の役をした男性に感想を聞くと、「最初の会話ではなんかもうそれ以上何も言えない感じ。でも二番目の会話では、ちょっと話してもいいかな、って思えました。」
これを見ていて大学で習ったことを思い出し、なんだか習っただけであまり実践に至っていないことを反省した。先日の苦情事件からも、やはりもっと生徒の感情を正確に把握しなくてはいけないと思っていたところだった。
その後もう一つ興味深いドキュメンタリー番組があった。イギリスに住んでいるインド人のティーンエイジャー(16歳)。この男の子がまあ、タバコを吸ったり夜中まで帰って来なかったりしてグレかけていて、母親の手におえなくなってきている。お父さんはいないようで、母親の再婚(?)相手がいるが、彼は見て見ぬ振り。お兄さんは医学部に合格したくらい優秀でそのコンプレックスもあるらしい。そこで登場するのが男女各一名のカウンセラー。この手の問題の専門家らしい。彼らの家を訪問し、あの手この手をつくし、家族関係向上の手助けをする。ティーンエイジャーは勿論態度が悪いが、お母さんもかなり口うるさく、彼が話そうとしていてもそれを遮ってしまうタイプ。カウンセラーはこんな時「どうやったらカッカしないで落ち着いて聞くことが出来るか」ティーンエイジャーにリラックスする為の呼吸法を教えたり、またはハイテクにイヤホンマイクを使って(親との)会話中に「イライラするよな。わかる、わかる。でもちょっと我慢しろ。」と囁いたりする。
そんな努力も空しく、状況はなかなか好転しない。そこでカウンセラーは「今日は問題解決は忘れて、お母さんと一緒に何か楽しめることをしてみよう」と誘い出す。行き先はなんと、(豪州でもショッピングセンターなどでたまに見かけるが)真っ白の人形(動物などの形をしている)に色を塗る、子供の遊び場所。が、ティーンエイジャーに恥をかかせぬためか、他の客は入れないようにしたようだ。ここで母子は並んで好きな人形に筆で色を塗っていく。しばらくそれをしていると驚いたことに息子は母に好きな女の子のことを話し出す。母はそれを聞き嬉しそうな顔。今日は母親の耳にカウンセラーと通じるマイクがついている。二人の会話が親密になってきた頃女のカウンセラーが囁く。"Tell him you love him!!" (息子さんに愛しているって言って下さい!)これを聞き、母親がなにげなく言う。"You know I love you?" 息子は恥ずかしそうに頷く。
この後親子の仲はずっとよくなる。それはあの"I love you"がもたらした結果のように思える。ティーンエイジャーは自分が愛されているということを確認したかったのだ。そこでちょっと考えてしまうのは、日本の親子ならこんな時どうするのだろう。子供に「あなたのこと、愛してるわよ」なんて言えないではないか。せいぜい「〜ちゃんのこと大好きよ」くらいだろうか? 日本人はもともと感情を言葉にしない人種…どうやったらもっと愛を伝えられるのだろう。
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2006年は何の年?
ゆうべテレビを見ていたら変なコマーシャルがあった。豪州内陸の砂漠地帯、いわゆる「アウトバック」にカウボーイのような格好の若いオーストラリア人男性が登場。もう一人のオヤジから箸と茶碗が飛んでくる。オヤジは典型的なオーストラリアのバーベキューでソーセージなどを焼き、それをプロのシェフ並みにもの凄い勢いで切り刻み、肉が宙を飛んでさきほどの茶碗におさまる。これはこちらの、日本料理で鉄板焼をやる店で見る芸当である。客の茶碗やあるいは口に食べ物を投げるシェフの驚異のエンターテインメントは日本の伝統だと思われているようだが、私は日本では見たことがない。聞いたところによると発祥はハワイなのだそうだ。
とにかく一体何のコマーシャルなの?と思ったら日豪交流年の宣伝だった。今年色々な催しが企画されているようだ。私もここで宣伝しておこうか。
http://www.yoe.australia.or.jp/events/
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暗示のパワー
Jane Elliott についてもう少し調べてみた。1960年代、彼女はアメリカの小学校で教えていた。アイオワ州の白人ばかりの学校だ。ここで人種差別について教えようとしたのだが、黒人を見たことがない子供達はどうも理解してくれない。その結果、苦肉の策として、「青い目、茶色い目」方式を考えだした。クラスを二グループに分け、「青い目グループは優秀」と宣言し、色々な特典を与える。これにより「優秀なグループ」に入れられた子供達は「劣等グループ」の子供達に対して威張り、不愉快な態度をとるようになった。そして同時に、このグループの子供達の成績が驚くほど伸びた。その後、エリオットはクラスに「自分は間違えてしまった。逆だった。」と言い、「青い目グループ」が急に「劣等グループ」になる。そうするとあんなに向上していた成績が急に下がり、今度は茶色グループが威張りだし、彼らの成績が急上昇する。
エリオットは子供達に「二つのグループは違う」と言っただけで、「異なった扱いをしなさい」と言ったわけではない。が、結果としては人種差別的な行動が見られた。
このような教育方法を実行したエリオットは「黒人の肩を持つ」として近隣の人から煙たく思われ、父親のビジネスも倒産してしまう。差別を防ぐために運動したことから自分が差別を受けてしまうのだ。学校は常にエリオットを支持してくれたが、そのうちこの教育法が広まり、彼女も多忙となった為学校を辞め、今度は成人を相手に教え始めたということだ。
エリオットの例で私が一番驚くのは人間がいかに暗示にかかりやすいかということ。子供はともかく、彼女のセミナーに参加する大人だって、自分が「劣等グループ」だというのはこのセミナーの中での芝居であるということは百も承知のはずである。が、その暗示にかかって泣き出したり激怒したりしてしまう。私が行った大学でやはり実験的アクティビティーをする先生がいたが、与えられた「役」になりきってしまった生徒を本当の自分に戻らせるのに数日を要するという話を聞いた。
しかし「優秀グループ」の子供達の成績が向上したように、暗示は使いようによっては隠れたパワーを引き出してくれる。だからこそ今Affirmation等、自分に暗示をかけることが注目されている。今私達がするべきなのは、青い目、茶色い目で社会を分けることでなく、目や肌が何色でも人は皆「優秀で素晴らしい」という暗示をかけることではなかろうか。
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エリオットは子供達に「二つのグループは違う」と言っただけで、「異なった扱いをしなさい」と言ったわけではない。が、結果としては人種差別的な行動が見られた。
このような教育方法を実行したエリオットは「黒人の肩を持つ」として近隣の人から煙たく思われ、父親のビジネスも倒産してしまう。差別を防ぐために運動したことから自分が差別を受けてしまうのだ。学校は常にエリオットを支持してくれたが、そのうちこの教育法が広まり、彼女も多忙となった為学校を辞め、今度は成人を相手に教え始めたということだ。
エリオットの例で私が一番驚くのは人間がいかに暗示にかかりやすいかということ。子供はともかく、彼女のセミナーに参加する大人だって、自分が「劣等グループ」だというのはこのセミナーの中での芝居であるということは百も承知のはずである。が、その暗示にかかって泣き出したり激怒したりしてしまう。私が行った大学でやはり実験的アクティビティーをする先生がいたが、与えられた「役」になりきってしまった生徒を本当の自分に戻らせるのに数日を要するという話を聞いた。
しかし「優秀グループ」の子供達の成績が向上したように、暗示は使いようによっては隠れたパワーを引き出してくれる。だからこそ今Affirmation等、自分に暗示をかけることが注目されている。今私達がするべきなのは、青い目、茶色い目で社会を分けることでなく、目や肌が何色でも人は皆「優秀で素晴らしい」という暗示をかけることではなかろうか。
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