よい上司だった。彼は誰にもフェアで、謙虚で、仕事も出来た。そして何よりも褒め上手で私にやる気を出させてくれた。一度新聞で読んだのだが、オーストラリアの労働者の一番の不満は、雇い主が"appreciate"してくれないことなのだそうだ。"Appreciate"とは「感謝」でもあり、「真価を認める」ということでもある。R氏はその両方を頻繁に、惜しげなく伝えてくれたので、私も一生懸命働く気になったのだろう。
異文化コミュニケーションの本によると、日本企業で働く外国人労働者が上司に「全く褒めてもらえない」ことによく不満を感じるのだそうだ。褒めてもらえないどころか叱り飛ばされたりすることもある。日本の上司というのは「父親的存在」であることが多いので、「子供」である社員を甘やかすことなく鍛えようとするのだろう。が、それはAppreciationを期待している西洋人社員には驚きとショックなのかもしれない。
教育の場でも同じことがある。日本からやってきたばかりの先生がビシバシとスパルタでやると、生徒はどんどんやめてしまい、ひどいと学校に苦情が届く。「褒め上手」な優しい教師のほうがすんなりと受け入れられるのだ。文化の違いと言ってしまえばそれまでだが、どちらのほうが生徒の為なのか…これは常に悩まされる問題だ。
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