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平(たいら)和(かず)

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セレブな日本語教師

「あっ!センセー!」教室から離れた所でこの叫びを聞くとドキッとする。大抵、ろくに化粧もせずデレッっとした普段着でちょっと買物に出たような時に限って生徒の誰かに会ってしまう。しかも現役の学生ならばまだいいが、昔の生徒だったりすると名前はおろか顔もよく覚えていない。適当に話を合わせて別れてからあれ、誰だっけ〜?と必死で考えたりする。

一体今まで計何人に教えたのだろう。それを考えれば不思議ではないのかもしれないが、とにかく意外な所で生徒と鉢合わせることが多い。家から一時間もドライブした先の海岸のフィッシュアンドチップスの店で、とか、年に一回乗るか乗らないか、という市内行きのフェリーの中で、とか…。そしてあちらが声をかけてくれればまだいいのだが、後になって「先生、この前どこどこで買物してたでしょ〜?」とか言われるのは嫌なものだ。もしかしてバーゲン会場で物色してた時だろうか(汗)。もっと驚いたのは「この前どこどこ辺りを車で走ってたでしょ〜?」と言われた時。彼女は私の車の後ろにいたらしい。本当にどこにいても油断はできない。「やれやれもう仕事は沢山だ!」と年末帰国しようとしたら空港で生徒にばったり会ったこともある。

結局教師という職業についていると悪いことはできない。いつもどこかで誰かに何かを目撃されている。つまりセレブなのだ。だから夫以外の男性と親しくしているところなど絶対に見られてはいけない(爆)。

しかし過去に随分、航空・観光・ホテル業界の学生にも教えた。私の唯一の望みは、ある日突然彼らに会って、「先生!あの時は本当にお世話になりました。おかげさまでいまや私も支配人です!」と「セレブにふさわしい」ファーストクラスの部屋や席に無料でアップグレードしてもらうことなのだが、いまだにそれは実現していない。

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今年から初級、中級全クラスでシャドーイングを導入した。「導入」というと大袈裟だが、シャドーイングというのは何か説明してから、CDをかけて少しやってみたということ。今までのように会話を聞いた後からリピートするのではなく、同時に読む、というこの方法、ネイティブと同じ速度でリピートするのはなかなか舌がもつれて難しいが、そこで教室に笑いがあふれ、生徒にはけっこう評判がいいようだ。もっとも「本当に効果があるんですか?」というシビアな質問をしてきた学生もいたが、「通訳訓練に使われているのだからやって損はないはず」(苦しまぎれの回答…笑)

辛い所は、既に高い教科書を買わせている為、その上にこのシャドーイングの本も買え、とは強制できないこと。まあお金のある学生は買うだろうし、一度やり方を覚えてしまえば、手持ちの本とテープ/CDで代用もできるのは確かだ。

私もシャドーイングをやり出してから気づいたことがあった。それは多くの教科書が学習者を思うあまり句読点を多用したり、あるいは単語間にスペースをあけていること。これは訳す時には助けになるのだが、話す練習の時に学生を観察していると、すべての句読点に忠実に従っている人が多い。「ワタシハ、ニホンニ、イッテ…」という具合で不自然になってしまう。そこで最近は「テンのたびに止まるな」と指導している。長文ならともかく、短い文ならネイティブは一気に言うのだから。自分でそう言えるようになれば、聞き取る際にもわかるようになるのではなかろうか。

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