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平(たいら)和(かず)

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二人の卒業生

一昨年の卒業生のうち二人が、たまにふら〜っと教室に遊びに来る。一人は腕にも足にもびっしり入れ墨をしたK君。二年前、初めて彼を見た時、こわっ!と思ってしまった。視線は鋭く、いつもつまらなそうな顔をして一番後ろに座っていた。しかし一、二年の間に彼はだんだんと笑顔を見せるようになっていた。イラストがうまいこと、小説を書いていること、コース最後のプレゼンテーションではめちゃくちゃ緊張していたこと、など本当の彼についてもわかってきた。勉強も熱心で成績もよかった。今年になってまた教室にひょっこり顔を出したので「元気ですか〜?今年は何をしますか。」と聞いてみるとなんとツアーガイドのコースに申し込んだのだそうだ。ツアーガイドね〜。入れ墨は隠したほうがいいのでは(笑)。しかし日本語で話すなら「オレ」的だった彼がいまや「ボク」のほうが似合いそうなのにはどうしても笑ってしまう。

もう一人、彼のクラスメートであったL君もたまに遊びに来る。彼はアニメおたくのちょっと幼稚な感じの残る青年だが、コース修了後、数回日本に遊びに行き、友達も作り、すっかり日本にハマってしまったようだ。今年の初めに顔を出したので「又、日本語するの?」と聞いてみると「今、日本に行ける仕事に応募してあるんだ。もしこれがダメだったら勉強も考える。」と言っていた。で、翌週又やって来た。(^^;) 「せんせ〜、ダメだったよ〜!日本人の面接官四人が気に入ってくれたのに、アメリカ人の面接官一人がノー!って言って落ちたんだ〜!ちきしょー!!」では日本語クラスに戻るかというと「もう今すぐ、日本に行きたいんだ!オーストラリアは嫌なんだ!だってぇ、つまらないよ、五時になると店が閉まっちゃうなんてさ。日本は一日中開いてるっていうのに。ゲームセンターなんかさ、最高だよね。オーストラリア人の友達と日本のゲームセンターに行った時も、使い方がよくわからないから友達は諦めかけたんだけどさ、ボク、読めたんだよ、漢字で、どこに右手と左手を置くかとか。だからできたんだ!!あー、日本に行きたい!日本に行きたいよ、せんせ〜。なんか仕事があったら紹介して〜。」もう熱病にかかったような勢いである。大体「五時に店が閉まってしまうのはつまらない」なんて、日本から豪州にやってきた若者が吐く台詞と全く同じではないか。

数日後、新聞に「日本で子供に英語を教えませんか。ネイティブなら資格不要」という広告が目にとまったので彼にメールをしておいた。英語の先生ってガラではない、と思ったが、「子供相手」ならけっこう適任かな、とも思ったのだ。(プレイステーション等共通の話題も多いだろう ー 笑)。朗報を待つことにしよう。

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言葉の魔法 パート3

拉致問題で北朝鮮との交渉が行き詰まっているようだ。北朝鮮代表と日本代表、密室で一体どんな会話が交わされているのだろう。「拉致した」「いや、してない」「対話が必要だ」「いや、必要ではない」「未解決だ」「いや、もう解決している」。こんな風にぐるぐると空回りしてしまうのは、政治家でなくともよく陥る状況だ。「◯◯ちゃんがボクのこと叩いた」「叩いてないよ!」とか、「なによ、他の女の子とばかりいちゃいちゃして、バカ!」「やきもちやくなよ、ブス!」とか(笑)「ああ言えばこう言う」で全く解決に向かって進まない類のやりとりだ。もし問題解決が目的ならばこのサイクルをなんとか破らなくてはならない。その為には相手と自分が目指すゴールを明確にし、その共通点を見つけ出す必要がある。それは「今のこの状況はお互い望ましくないですよね。だからなんとか変えていかなくてはいけませんよね。」といったことだけでもいい。いつまでも空回りしているのは誰にも利益がないばかりか損失でもある。「私はこういう風にしたいと思うんですけど、あなたはいかがですか。」意見や反論が出たら「私は今あなたがおっしゃったことを◯◯という風に解釈したんですが、それは正しいでしょうか。」…こんな風に確認をとりつつ会話に方向性を持たせていく。問題解決学で重視されることだが、政治家の先生方はご存知であろうか。ちょっと不安になってしまう。

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言葉の魔法 パート2

前回のエントリーで戻って来た落第生たちについて書いたが、実はもう一つの学校でも、去年さんざん文句を言った挙句やめた女子学生(19歳のアジア人)が戻って来た。彼女は去年第一週めから「難しい」「速すぎる」「もう宿題は出さないでくれ」といった苦情を繰り返し、三、四週間でドロップアウトした。その後、親戚を訪ねて日本に一ヶ月ほど行って来たらしく、今年再チャレンジをする気になったらしい。

が、今も質問だらけなのは変わっておらず、それもかなり低レベルな質問を何度も何度も繰り返すので正直言って嫌気がさす。「こんなに同じことを聞いてクラスメートに迷惑だろうか」とか「私の質問だけで時間を無駄にするのは申し訳ないから後で個人的に聞きにいこう」といった気配りは…ゼロ!!しかし今年で参加二回目だから去年のようなパニックは見せていない。結局今のところ彼女はクラスに満足しているのだ。が、先日、授業の後で後片付けをしている私に近づきこう言ってきた。

"YOU were going too fast last year. YOU didn't give us a chance to ask. YOU gave us too much homework" ... 彼女としてはあくまでも文句を言っているつもりではなく、「でも今年は去年よりゆっくり教えてくれているので嬉しい」というのが締めくくりだったのだ。しかし私は内心責められている気がしてムッとした。こう叫びたかった。「私」は去年よりスピードを落としたりなどしていない!ゆっくりだと感じるのは単にアナタが去年と同じ内容を教わっているゆえの余裕だろう!「私」は去年も学生に質問するチャンスを与えたはずだ!今までそれをしなかったことはない!「私」は去年も今年も同じ量の宿題を与えている!去年だけ多かったことはない!

「問題解決学」で習った話し方では"You"で文を始めるのはタブーなのだ。「あなたは…」と言われると「私は…じゃない!」という反論を誘うからだ。それではどう話すべきかと言うと主語を"I"にする。"I think" "I feel" という風に始めると何を言っても「あなたがそう思うのは私の関したことではない」というクッションができる。例えばこの生徒が「私は去年は先生の教え方が速過ぎるように感じたんですが…。」と言ったなら私も「あらそう?あなたはそう感じた?私はそう思わないけど、あなたがそう感じたならしょうがないわね。」となる。それほど感情的な反論を起こさせないのだ。「私」について決めつけられた気がしない。

日本語ではもともとIも Youも隠れているから余計考えなくてはいけないかもしれない。英語はその点主語抜きで話せないから簡単?いえいえ、知っていてもなかなかできないものなのですよ、これが…。喧嘩になりそうな時、お試しあれ。

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