入学手続きを担当した同僚から電話がかかってきた。「ねえ、あなたのクラスに例の◯◯さんが又入ったわよ。」耳を疑い絶句。去年あれだけシビアな
苦情の手紙を書いておきながら??
しかし初日、紛れも無くあの彼女が他の学生と共に教室に入って来た。さすがに私とは視線を合わせない。が、これから又、おそらく一年のお付き合い。根に持っていても仕方がない。プリントを配った際にわざと明るく「◯◯さん!お元気ですか〜?」と声をかけてみるとやっと顔を上げて微笑んだ。
しかし今度は私に幸運の女神が微笑んだ。通常は外部から色々なバックグラウンドの学生が入ってくるのだが、今年のこのクラスはほとんどが去年のクラスから上に上がってきた学生で、レベルが殆ど同じ。全くの初心者が一年間勉強した、そのレベルで統一されている。つまり、出来ない◯◯さんに合わせてゆーっくり教えていても誰からもクレームは来そうにない。十年に一回あるかないかの「みんなが同じレベルのクラス」なのだ!!幸い教科書も去年のよりやさしいのに変えている。
まだレッスンは数回しかしていないのだが、◯◯さんの反応はよく、クラスに満足しているようだ。去年のように「ペラペラ」な学生は一人もいないので劣等感に悩むこともない。そして、驚いたことに今週から、去年のもう一人の落第生の××さんも戻ってきた。あの、
日本で英語教師をしていたのに全く語学の才能のないヒトだ。(彼女も落第の結果に不満で問い合わせてきた。)これは憶測なのだが、おそらく◯◯さんが誘って戻ってきたのではないかと思う。きっと彼女が「今年のクラスは去年より簡単でいいから、もう一度やらない?」とでも連絡したのだと思う。
正直な話、この「二人」がいなかったら学生数が足りなくてコースがキャンセルになるおそれも出て来たところだった。苦情を出した落第生二人に救われた日本語コース、おかしなものである。
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昔の同僚にこんな人がいた。授業開始十分前くらいにオフィスに到着。鬼のような形相で今日の教案をファイルから探し出す。次にダーッとコピー機までダッシュ。何やらヒステリックな叫びが聞こえ(コピー機が動かないのか?)、その後もう姿がない。教室に行ったのだろう(苦笑)。が、彼女は先天的ユーモアのある人で、自分としては普通に発言しているのに内容がメチャクチャ面白いので学生にも人気があったようだ。
とにかく小心者の私には「十分前到着」は真似のできない芸なので、大抵時間には十二分に余裕を持って目的地に到着するようにしている。が、先日は着いてから洗面所に行き、それからお茶を飲んで一服、の予定だったのにどこもかしこも鍵がかかっている。教室は開いているのだが、いつもは居る係員も全く見当たらない。お茶は我慢できるが、トイレはやはり…で、しかたなく徒歩五分の別の校舎まで歩くはめに…。往復し、約十五分後に戻ってくると案の定、係員もいるしドアも開いている!教室に戻って授業の準備を…と思っているとCDプレーヤーが届いていないので係員の部屋に行く。すると去年の学生がふらっと現れ、「近々(日本人の相手と)結婚するので今度のコースには入らないけれど去年はありがとうございました。」云々と話が長くなる。その途中にもう一人の学生が来て「先生、教室はどこですか。」説明していると係員が来て「CDプレーヤーはこんな古いのしかないがこれでいいか?」使えるならなんでもいい、と言うと「フタがしまらないようだからガムテープも持って行くか?」と荷造りテープのようなデカイのを持って来る。すると他の係員が現れ「新しいのがあるぞ!こっちを持ってけば?」やれやれ…では本当にもう教室に!!と歩きだそうとするとさっきの学生がまだ居て「先生、ところで結婚式でスピーチをしてもいいと思いますか?何と言えば…?」と込み入った質問を投げかけて来る。
やっと皆を振り払って教室に到着すると既に授業開始の時間。最初にリスニングをすることにしていた。が、まずはさっき貰ったばかりの新型CDプレーヤーの使い方が即わからず色んなボタンを押して汗が出る。ようやくCDが起動するとしばらくして学生達が「先生、このプリントとCDの内容、違います!」と騒ぎ出す。あー、ごめん、ごめん。違うの配っちゃった。まったくもう、一時間近く余裕を持って到着したのに、どうしてこうなっちゃうんだろう!?私の心の叫び、聞こえただろうか。
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先週の金曜日は「オーストラリア・デー」の祭日だった。この祝日には毎年恒例の屋外無料コンサートが行われるのだが、今年は主催者が「オーストラリアの国旗持参は控えてほしい」と言い出し、メディアで騒がれた。主催者側の理由は、「人種摩擦のもとになりかねない」から。これは一昨年十二月にあった中近東系の若者をめぐるクロヌラ・ビーチでの暴動、それに続いてオーストラリアの国旗が盗まれた事件などから、再発の危険を憂慮しての決定だったようだ。これにはハワード首相をはじめ殆どの人が「自国の国旗を翻すことができないなんておかしい」と反対した。それに対し主催者は「禁止ではない。が、持参しないことを勧める。」と主張した。
当日。コンサート会場にはオーストラリアの国旗が溢れた。手で振ることのできる旗、タオルのようにして首から背にかけて垂らす旗、顔や腕に塗られた旗…。そしてこれといったトラブルもなく、一日は終わった。"We love Australia!"というメッセージの圧勝。これには主催者も自らの過ちを認めざるを得なかった。
オーストラリア人の愛国心はオープンだな、と思う。日本で"I Love Japan"というTシャツを着て歩いている日本人を見たことはないし、日本の若者が日の丸を掲げて建国記念日にイベントに参加する姿も思い浮かばない。(もっとも日の丸そのものにネガティブなイメージを持つ人もいるだろうが…。)私もこちらに来るまでは日本という国はいい国だとは思わなかった。西洋諸国に比べると遅れている、というイメージを持っていた。が、外から眺めるニッポンは、内から見る母国とは随分異なっていた。離れることによって、初めて祖国を、客観的に比較することが可能となった。そうしてみると日本も捨てたもんじゃないな、と見直すことが多々あった。遅れているどころか進んでいる部分も見つけた。日本にしかない美も見えて来た。
「美しい日本」をめざす阿倍首相の政治が実を結び、日本人が"We love Japan!"と叫べる日が来ればいいな、と思う。
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