ようこそ!

- Information -

著書「日本語教師の卵に贈る 海外での日本語の教え方 裏ワザ集」(電子本-でじたる書房で発売中!
これから海外で教える方必読!E-bookなのでダウンロードしてすぐに読めます!


-- E N D --
.
.

プロフィール

平(たいら)和(かず)

リンク

このブログをリンクに追加する

カテゴリー






 





様々なキャラたち

学期末が近づいてきた。生徒だけでなく教師だって毎週指折り数えて休暇を待っているのだが、いよいよ最終段階となり振り返ってみると一学期というのは本当にあっという間だ。まだ十分に暑い二月に初めて会った生徒達が今はセーターに身をくるめて寒そうに座っている。しかしこの「あっと言う間の」数ヶ月間に随分と生徒自身に変化があったり、または私からの生徒の見方が変わったりしていることもある。

学期の初めにひょうきんなオージーのK君について書いた (2/23)。彼はけっこう欠席が多かったのだが意外なことにまだやめずに来ている。次から次へと口をついて出て来るジョークでクラスは何度も笑わせてもらったのだが、K君は実はけっこう真面目な青年なのだな、というのも折々窺えた。それは先日彼が最後にスピーキングテストを受けた後二十分以上も話をしていった時、確実なものとなった。「思うんだけどさ、英語のネイティブスピーカーでもきちんと発音する人が少ないよね。だからボクの日本人の友達もわからないことが多いんだと思う。うちの母親は語学教師だったんだ。もう死んじゃったけどね…。それにしても豪州で働いてる若い日本人は可哀想だよね。時給は違法なくらいに低いよ。でも会社が豪州企業でない限り捕まることはないらしいんだ。ひどいよね。ボク、日本人の友達が出来てこんな状況を初めて知ったんだ。ほんとに驚いたよ。」こんな話をするK君は最初教室に入ってきた能天気なオージーボーイとは全く別人に見えた。

一方、中級クラスにいるTさん。彼は過去ずっと落第していることで有名だ。それでも一応中級に居座っている。が、遅れに遅れ、催促を繰り返した後やっと提出して貰った宿題を見るとなんとクラスメートが書いたものと全く同じ。これには私もムカッと来た。高校を出たくらいの子がやるならまだしも、彼は二児の父親である。仕方なく呼び出す。「ねえTさん、これ、自分で書いたものですか。」「うん、そう。」「私、違うと思うんですけど…。」「え?どうして?」「だってこれ、Pさんの答えと全く同じですよ。」「ええっ?」「とぼけないで。」「うーん…先生、よく覚えてるね。」自供したところでお説教をした。「あのね、わからないなら私に聞きに来てくれませんか。そうしたら喜んで教えてあげます。」「うん、でも学校時代も勉強はダメだったんだ。」(こういう生徒、実に多い。何十年も前の学校の成績を一生引きずっている。)「だけど今やってるのは日本語でしょ。昔の勉強と関係ないと思います。家で勉強してるんですか。どのくらい?」「ボクは怠慢なんだよ。それは認める。もっと勉強しなきゃ駄目だって、わかってる。」
「じゃあ、とにかくこれ、自分の力でやり直して来週再提出して下さい。」翌週、彼は自力で書いたものを提出した。そして今までは授業中当てても全く答えられなかったのだが、その週当てたらちゃんと答えが返ってきた。クラスメートも唖然として彼を見つめている。「すごい、Tさん!予習したんですね。」「へっへっへ…照れるじゃないか…。」
そこで期末試験を作った後で、試験内容に似た練習問題を配り「期末にはこんな感じのが出るから、これを徹底的に練習しておくこと。」と予告しておいた。これならTさんだって努力次第では受かる可能性が出て来る。数日後、Tさんの試験を採点した時、嬉しくなった。彼にしてはけっこう出来ていた。試験勉強をしたのは明白だった。私が変に甘くつけなくても彼は合格点を得た。彼は初めて正々堂々と日本語コースに合格した。

さて、初級クラスの無口なM君。いつも一番後ろの席にじーっと座っている。殆ど誰とも話すのを聞いたことがない。が、M君の努力と上達ぶりはそっと観察していた。最後のほうではたまに質問さえするようになっていた。スピーキングテストに来た彼は緊張はしていたが、しっかりタスクをやり遂げた。そして稀なるスマイルを見せてくれた。にきびだらけの、お世辞にもハンサムとはいえない彼だが、その微笑みは輝いていた。こんな人を英語ではQuiet Achieverというらしい。

対照的にブラッド・ピットのような風貌のL君。背も高い。さわやかな微笑み。彼は日本人の彼女がいるから、とクラスに来ていた。アイコンタクトも強く、彼に見つめられたら誰だってふらーっとなってしまうだろう。が、スピーキングテストの後で「最近日本語の練習できなくなっちゃった。」え?どうして?「彼女と別れたんだ。」あら、そうなの。「じゃ、また新しい彼女見つかるでしょ?」(あなたならすぐに次のが見つかるわよ。っていうか「彼女募集中!」って言った途端に行列が出来る…。)

以上今回はなぜか男性のほうが色々なキャラにあふれていた。女性はどちらかというとおとなしかったのだが、まあ後期はどうなるか、フタを開けてのお楽しみだ。

著書日本語教師の卵に贈る 海外での日本語の教え方 裏ワザ集 オーストラリア発信!でじたる書房にて発売中!