授業中何かの拍子で引っ越しの話題になった。伝統的なしきたりに「引っ越しそば」というのがあって、これは皆さんが習った「そば=近く」という言葉をかけたものですよ、などと説明すると皆興味津々だ。(大体このクラスはそういうカルチャートピックが大好きなクラスで注意しないとそれだけで終わってしまうくらいだ。)
「へーえ!そばって包んであるやつですか、それとも料理したやつですか。」「ご近所に配るって、計何軒くらい?どの家に渡すの?」等々けっこう細かいことまで聞いてくる。この手の質問は私はあまり得意としない。日本できちんとした成人生活を経験しないままこちらに来ているからだ。特に引っ越しに関しては日本では一度も経験していない。今はそばでなくても石けんやタオルとかいった実用品でもいい、配るのは向こう三軒両隣、などおぼろげな記憶を自信のないまま教えてから帰宅してもう一度調べることとなった。アパートなどの場合は上と下にも配る、とか、引っ越し当日には荷物の運搬などで迷惑をかけるのだから2−3日前にもう挨拶回りをして手渡す、などけっこう勉強させて貰った。考えてみれば日本に長期滞在する学生もけっこういるのだから、こういったことは教えておくべきだとも思った。なんせこちらでは引っ越してきた側は何もせず、ご近所のほうがケーキなどを焼いて「歓迎」してくれるというしきたりなのだそうだ。(まあ実際貰ったことは一度もないのだが、一軒家でないからなのかもしれない。)新入りは常に「一番下」に格付けされ、諂わねばならぬ日本とはなんたる違いだろう。こんなところに人間関係の基本的な相違をしみじみと感じる。
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