日本語教師の新学期
新学期が始まり最初のスピーキングテストを教室の外で個別にしていると、若いアジア人の男の子がやって来て「あのー、今日から入りたいんですけど…。」テストをしている最中だって一目瞭然だと思うのだけど…。「わかりました。じゃ、後で話しましょう。」休み時間に彼と話す。「もう平仮名は全部終わっているから随分自習しないと挽回できませんよ。いいですか。」うなずく彼だがまだテキストも持っていない。これから注文したって来週の授業に間に合うかどうかもわからない。仕方ない…これからオフィスに戻って今まで使ったページをコピーして渡すしかない。教室を出ると「せんせーっ!」去年教えた学生に声をかけられる。ああ、タイミング悪い!「実は仕事の都合でまだクラスに出てないんですけど、先生、テキストの名前ご存知ですか。」すぐに教えてから話を切り上げダッシュしだす。ところがオフィスのドアまで来ると、今まで何度も使ったあの暗証番号が思い出せない。職場の数五つ。考えてみると暗証番号は、ビルに入る時のもの、入った後でアラームを解除するもの、資料室のもの、コンピューター用のユーザーネームと番号が2セット、それとは別にメールチェック用のものがある。落ち着け、落ち着け、と考えていたらやっと思い出せた。新学期はいつもこのような状態なのである。
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