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日本語教師 in オーストラリア

オーストラリア在住の日本語教師が、教えながら考える異文化理解、異文化コミュニケーション、日本語教育。

Archive [2006年02月 ] 記事一覧

遠慮の美

オーストラリアにしばらく住んでから一時帰国した時、我が家唯一の「外国人」の友人が家に遊びに来た。台湾から来た姉妹でうちの父の知り合い ー その頃三十代だったと思う。お姉さんは台湾に住んでいながらも日本語が流暢で、妹のほうは日本に住んでいるのになぜかそれほどうまくない。彼女が言いたいことはなかなかうちの両親には通じなかったのだが私はけっこう当てることが得意だった。とにかく、その日私はある逆カルチャー...

買い物に見る異文化

オーストラリアのスーパーではレジに並ぶ時、お客さん自らが品物を買い物かごから出してベルト・コンベヤーに乗せるのが普通。日本ではこれはしなくていいのだが、帰国するとつい癖で出しそうになってしまう。又、ハンドバッグ以外に袋などを持っている場合はレジで「点検」してもらうために差し出さなくてはいけない。まあしなくても何も言われないことのほうが多いのだが、この間さぼっていたら「見せて下さい」と言われてしまっ...

C君その後

自閉症のC君、幸いもう授業中に特にびっくりするような騒音を出すことはなく、「苦情おじさん」も黙ったまんまだ。しかし誰も彼の隣に座らないので「ペアワーク」の時に私が相手にならなくてはいけない。つまり私はあんまり他の学生を監視したりサポートしたりできなくなる。ここで「C君の相手は私がやりましょう!」とボランティアが出てこないのはちょっとがっかりしてしまう。みんな冷たいの?それともただ恥ずかしいだけ?いく...

変な日本語 その2

先日「シーチキン」の話をしたが、もう一つ、日本に住んでいた学生が不思議がるのが「ペットボトル」。これは誰でも犬、猫の「ペット」を想像してしまうのでは?スペリングだって同じだし…。ペットを入れておく瓶?まさかね。何の略なのかと調べてみると、略されても仕方がないような長ったらしい言葉だ。ポリエチレン・テレフタレート樹脂。英語だと"polyethylene terephthalate resin"。でもこの頭をとるとPTRなのだが…。不思議...

K君のリクエスト

新しいクラスにいるK君。ブロンドヘアーの、サーフィンでもしそうないかにもオーストラリア人っ!という容貌。授業中もクラスメートと何やら面白いことを言ってはケタケタ笑っている。このタイプ、最初だけ面白半分で来てすぐやめてしまうのでは?と思ったのだが、第3週の今はまだ来ている。とにかくこういうひょうきんものが一人でもいてくれるとクラスの雰囲気は明るくなる。昨日も白板に書いたひらがなを指差してクラスに読ま...

Choose your life

二日間ブログをさぼってしまった。朝6時半に家を出て夜9時半に帰ってくるとさすがにもうコンピューターに向かう気力なし…。「書かなきゃ」とは思うのだが…。しかし自己啓発の本で読んだのだが、"should" "must"というコトバは使わないほうがいいのだそうだ。その代わりに"I choose to ~" と言いかえる。「~しなきゃいけない」じゃなくて「~することを選ぶ」。「~しなきゃ」と勝手に思い込み、自分をストレスに陥れていること...

なぜ広告をやめたのか

昔は日本語教授の広告を新聞や電話帳に出したりしていたのだが、最近はもうしないことにしている。幸いここ数年は広告なしでもなんとかやっていけるくらいの仕事が入ってくるということもあるが、もう一つ理由がある。それは、けっこうおかしな問い合わせが多いからなのだ。まず、個人レッスンの広告を出すと必ずちょっといやらしい電話がかかってきた。最初からいやらしい事を言ってくれればこちらもさっさと切ることが出来るのだ...

海のトリ

段々忙しくなってきた。一日中教えて、もひとつプライベートレッスンをしていたら眠くて眠くて、もう瞼がおりてしまいそうで困った。友達でやはり日本語教師のYさん、本当に教えながら眠ってしまったことがあるそうだ。プライベートレッスンだったとは言え顔から火が出る思いだったそう。というわけで今日は一つだけ、よく学生に聞かれる言葉をご紹介しよう。それは「シーチキン」。これ、日本に住んでいた学生は必ず疑問に思った...

to do a Bradbury

2002年のソルトレークシティー冬季五輪のスピードスケードで一躍有名になったオーストラリアのSteven Bradbury。そのわけは単に金メダルを獲得したからではなく、ほとんどビリだったのに、最後の最後で先を行っていた他のスケーターが皆転倒し、彼だけが転ばずに完走(完滑?)したからである。昨日インタビューされているのを見たが、勝利の瞬間も果たして「ここで腕を上げて嬉しそうな顔をしていいのか」戸惑ったのだそうだ...

再会

昨日ず~っと昔に教えたSさんという女性に再会した。そのいきさつがちょっと面白かった。私が推薦状を書いて日本で英語を教える仕事を得た学生が、日本から、翻訳の話があるとメールしてきたのだ。私は翻訳は全く興味がないので断ろうとしたが、ふと昔教えたSさんを思い出したのだ。彼女とは何年も会っていなかったが、翻訳を中心に自宅でビジネスをしていることは知っていた。電話帳にも必ず語学学校の欄に出ていたので、毎年「あ...

2006年は何の年?

ゆうべテレビを見ていたら変なコマーシャルがあった。豪州内陸の砂漠地帯、いわゆる「アウトバック」にカウボーイのような格好の若いオーストラリア人男性が登場。もう一人のオヤジから箸と茶碗が飛んでくる。オヤジは典型的なオーストラリアのバーベキューでソーセージなどを焼き、それをプロのシェフ並みにもの凄い勢いで切り刻み、肉が宙を飛んでさきほどの茶碗におさまる。これはこちらの、日本料理で鉄板焼をやる店で見る芸当...

希望が持てた夜

今日仕事に行く前に、学校のカウンセラーから電話を貰った。例の自閉症のC君の件。「彼の場合ははっきりどうして欲しいのかを伝えないと理解できません。だから『私が話している時は絶対喋らないで聞きなさい』ときっぱり言ったほうがいいです。」というアドバイスだった。そうか、つまり日本式の「あの~、私が説明している時にはね、どっちかというと静かにしてもらえるとね、他のクラスメートも助かるんじゃないかなあ、なんて...

新しいクラス、第一週目でピンチ!

今年のクラスが始まった。毎年第一週目はなんだか気持ちが落ち着かない。まずは「クラスがあるか?」という心配だけれど、あることが決まったら今度は「どんな生徒が来るんだろう?」ということでソワソワする。クラスメイト間での相性、日本語力の差、または去年のように極端に静かなクラスと極端にうるさいクラス、など色々と心配のタネはある。一つのクラスではもうある生徒から苦情が来た。クラスメートのC君がうるさい、と言...

翻訳ツールで笑おう

まだ学期が始まったばかりで宿題や試験の採点までには時間があるが、去年同僚と集まった際「最近はインターネットの翻訳ツールも段々正確になってきてるみたいだから学生の作文採点時などには要注意だ」ということを小耳に挟んだ。そこで今日はちょっとお手並み拝見しようといくつか試してみた。実は先日こちらの新聞にも翻訳ツールについて関連記事があったのだがそこには「なるべく短い文で俗語類は入れないほうが正確な答えが戻...

外国人による日本語小説

デビット・ゾペティの文章に初めて触れたのは、国際交流基金が配布している「日本語教育通信」というニュースレターだった。「日本語は官能的」と題したその文。***…外国語を学ぶ際に大事なのは、まさにそういう特徴といかに<接する>か、という<心構え>だと思う。日本語固有の文字表記、言い回し、微妙なニュアンスなどを至難の課題と思うか、逆に<遊び心>でそれに取り組めるか、がポイントだろう。 日本語はこういう<...

オー!Panko!?

先日二泊三日で旅行をした。なかなかスケジュールが合わない夫と私がたまたま三日間ブランクが重なったからである。即、プライベートレッスンをキャンセル。(ごめん。…理由も旅行とは言わなかった。ごめん。)とにかく、ワインで有名なその地に着いた。今日は料理もしなくていいではないか!と浮き浮きレストランに向かう。メニューを広げるとおいしそうな料理名が色々と綴られている。シーフード、食べたいな、とエビ料理の説明...

外国語を学ぶ人々

昨日は入学手続きを手伝いに行った。これは日本語だけでなく語学部全体のものなので、日本語以外のコースに申し込む人達にも関わった。一見楽な仕事のようだがカルチャーショックとも呼べるような経験が幾つもあった。まず、「語学をしたいけれど何語がいいのかわからない」まま申し込みに来る人。テーブルまで来てから相談しだす。「何語がいいと思います?」「そ、そうですねぇ…。どんな国に興味があるんですか。」「うーん。簡...

Helloとこんにちは

ついつい机の前に座りっぱなしになる毎日。できるだけ散歩に出かけるようにしているのだが、早朝と日没時は涼しいので散歩もラッシュアワーになることが多く、他のウォーカーと顔を合わせることは避けられない。すれ違う時は大抵無言なのだが、先日女性二人組(プラス犬一匹)に「ハロー!」と言われて気持ちがよかった。特にその言い方が明るくて、大きい声でフレンドリーな調子だったから嬉しくなってしまった。が、昔、私がこち...

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常に上をめざせ

数年前担当したクラスはチームワークが抜群で、教えていて非常に楽しいクラスだった。通常年末の打ち上げはレストランで行うのだが、そのクラスでは生徒の一人が自宅を提供してくれ、皆が料理を持ち寄って和気あいあいのパーティーとなった。夜も更けてきたころ、オーストラリア人の生徒Mさんが、身の上話を始めた。しかもパーティーにはあまりふさわしくない話題である。昔、別れたご主人に暴力をふるわれていたというのだ。「あ...

礼状に見る日本のカルチャー 

(昨日のエントリーに引き続き)これも生徒がくれた本。なんで?と思われるかもしれないが、自分に一冊買ったついでに私にも買ってくれたらしい。手紙文の翻訳を手伝ってふうふう言っているので見るに見かねて、なのかも。完全に日本語の本だが、英語版が出ていたら面白いだろうなあ、と思う。たとえ目次だけでも英訳があったら、それはさながら日本文化事典のようになるだろう。お中元・お歳暮へのお礼、お土産へのお礼、お餞別へ...

English? Yes! Yes!

クリスマス頃からなぜか生徒に随分と日本語の本を貰った。夏休み中にも読みきれなかったくらいだ。自分の趣味に合わないものはどうしても後回しになるのだが、姫野カオルコの「ハルカ・エイティ」はなかなか楽しい本で数日で読み切った。最後のほうに面白い場面があった。「グランファーザ?ユー アー フジコズ グランファーザ?」「イエス、イエス」外国人に英語でなにか言われると反射的にイエスと言うのが多くの日本人である...

カタカナ語にご用心!

昨日のエントリーの従兄弟たちの両親も一度オーストラリアに遊びにやって来た。名所ブルーマウンテンに連れて行こうとドライブしていると、窓の外を眺めていた叔父が「えっ!」と絶句している。「な、なんかあんなに大きいのって恥ずかしくて入りづらいよな。」と言うので何事かと見てみると、かなり大きい建物の前面の三分の一くらいを覆った巨大な"MOTEL"という文字が見えた。又もや吹き出す私。「ああ、あれはね、普通のホテル...

インスタントで日本語をペラペラ話す(ように見せかける)方法

数年前、従兄弟たちがオーストラリアに休暇でやって来た。空港に迎えに行った時、どうしても今化粧品を買いたいというので付き合った。化粧品店ではオーストラリア人の女性がにこやかに迎えてくれ、英語が全くわからない従妹に向かって説明を始める。私も横で聞いていたのだが、日本語しかわからない従妹にはこう聞こえたはずだ。「ナントカカントカ ペラペラペーラ ナントカカントカ くちべに。ペラペラペーラナントカカントカ...

奇跡の日本語クラス

今まで何度かコースに関して絶体絶命の危機に見舞われたことがある。開講に必要な人数にあと一、二人足りなかった時や、ドロップアウトした学生が多く、コース途中でキャンセルされそうになった時だ。人数が足りなかった時は過去そのコースに参加した学生一人一人に電話をかけ、「もう一度しませんか?」と「勧誘」しなければならなかった。「えーっ?日本語コースぅ?もう随分前のことですよねえ、私が参加したのは。」などと言わ...

悠々自適スローライフ

もう2006年の十二分の一が終わってしまった。シドニーハーバーでの花火もまるで遠い昔のことのようだ。仕事も少しずつ始まってきている。今又時間に束縛される生活に戻ってみると、「スローライフ」というコトバに魅かれる。昨今よく目にするこの言葉、もともとはイタリアで「Fast Food」 の逆の「Slow Food」というコンセプトができ、そこから「Slow Life」という単語とコンセプトも生まれたらしいのだが、日本語で言うなら悠...

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