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平(たいら)和(かず)

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Almost Aussie

一昨年だったか、Sarah Turnbull という人が書いた"Almost French" というノンフィクションが長い間ベストセラーになっていた。大学時代フランス語をとって落ちた、という経歴を持つオーストラリア人の彼女がフランス人と結ばれパリに住むことになる。パリでの生活はカルチャーショックの連続だ。苦い経験を重ねた末、ついに彼女はパリジェンヌに見間違えられるまで「フランス人」らしくなる。

   彼女の異文化体験は、自分がこちらに来てからの体験と重なり、国は異なれどそうそう!と頷かされることも多かった。例えば、フランス語が下手な為、他の人が最近読んだ本などについての知的な会話をしているのに彼女は入っていけない。口を開けば幼児レベルのことしか言えず、人に知能指数を疑われそうな気がしてしまう。そんな時の孤独感・・・。

   確かに面白く書けている本だが、しかしなぜここまでの人気が出たのだろう。そう考えて私にふとある推論が浮かんだ。もしかすると、多文化国家でありながら、平均的なオーストラリア人にとって「移民の視点」を知ったのはこれが初めてであり、それが新鮮だったのではなかろうか。オーストラリアには多くの国籍の人間が共存しているが、それは必ずしもお互いを知っているということではない。お隣は中国人でお向かいはギリシャ人かもしれないけれど、だからといって移民の彼らがオーストラリアでどんな苦労をしているか、どんな心境でいるのかまではよっぽど付き合いが深くなくてはわからないはずだ。

   それを移民となった同胞の口から聞いて、オーストラリア人は心を動かされたのかもしれない。私の勝手な推測だが、なぜかそんな気がしてならない。