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平(たいら)和(かず)

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日本語よちよち歩き

私は子供がないが、一度友人の子供と散歩に行ったことがある。まだ三つくらいの子だからむこうに歩調を合わせると随分とゆっくり歩くことになる。最初はもどかしいが、段々そのゆったりペースに慣れてくる。そうすると普段は気づかない光景を発見したりする。花が綺麗だね、とか、あ、あんなとこに虫がいるよ、とか・・。

  今プライベートで教えている生徒との授業では、あちらの希望で日本の小説や記事、エッセイなどを読んでいる。そこまで出来るのだから、まあ上級ではあるが、文庫本ともなると一年以上かかる。週一回、一時間の授業だから仕方がないのだが、こちらにとってもどかしいのは確かだ。亀のスピードでの翻訳に授業中ボーッと他の事を考えてしまったりする。が、このスピードだといやでも一文、一文をじっくり吟味することになる。いつもならサッと読んで考えもしないようなことで質問され、「あれ、どうしてかな」といった疑問が出てくる。先日はこんな文があった。「母は母なりに、私の言葉に傷つき苦しい季節を過ごしてきたのだ。」問題は、その「季節」ということばに「とき」と振り仮名がふってあることだった。当然生徒は「これは、キセツなんじゃないですか」・・。著者はどうして「時」と書かなかったんだろう?「季節」と書くことで何を訴えているのだろう?・・・生徒のペースに合わせてよちよち歩くのも実は嫌いではないような気がする。